夏の思い出

夏のある日、街中で声をかけられた。

「社会人のスポーツサークルやってるんですけど、話聞くだけでもいいので聞いてもらえませんか?」

こういうのはだいたい逃げるんだけど、なぜか逃げなかった。

LINEでやりとりをして、参加してみることにした。

人と関わる練習になるし、友人ができるかもしれない。

初参加の日は、めちゃくちゃ怖かった。

声をかけてくれる人がいてうれしかったけど、初めのうちだけだし、このままじゃダメだと。

帰りは少し泣いた。

それから何回か参加した。

飲み会でハメを外したこともあった。

酒を飲んでおかしくならないと居心地が悪くていられない。

酒に頼る自分が嫌だ。

ある日、話が将来のことになった。

具体的なことは言わないけど、何か紹介したいようだった。

ついてきてほしいと言われたので、何も疑わずについていった。

「◯◯知ってる?」

まったく知らなかった。

いろいろ説明が始まった。

他の人もいて、その人たちはすでにやってる人たちだった。

儲かるか疑問に思ったけど、なんかスゲーって思ってしまった。

トントン拍子でぼくもやることになった。

合わなければやめればいいし。

次の日、異様な光景を目にした。

ランクの高い人が話してくれたんだけど、話は不安を煽る内容が多く、周りの人のその人への反応がかなり過剰だった。

正直気持ち悪かった。

感想を言わないといけなかったのでそこには触れず、その中でも少しはいいと思ったことを言った。

ある日、ネットで◯◯のことを調べた。

どうもヤバイらしい。

誘ってくれた人にやめたいと伝えたら、必死で止められた。

「理念に共感してくれたじゃん。信じてたのに。」

確かに理念には共感した。

でも友人ゼロ、コミュ力ゼロのぼくには無理。

そもそも、ぼくはああいう買い物の仕方はしたくないし、物はそんなにいらん。

それからぼくの足は遠退いた。

やめた。

もう連絡は来ない。

これからも来ないだろう。

ぼくはまたひとりになった。



何のことかわかる人にはわかるかもしれません。

心の中にそっとしまっておいてください。