『博物誌』ルナール

「…眠る前に永い間、それらの影像(すがた)を一つ一つ数え挙げるのが楽しみだ。影像は、素直に、思い出のまにまに蘇って来る。」

それはとてもいいことだ。きっといい夢を見られるだろう。釣竿にかわせみが止まって、息を殺したことは、鮮明に蘇って来そうだ。

しかし、ぼくは自然を愛でるようなことはしないので、内容が頭に入ってきても薄い反応ばかりせざるを得なかった。知らない生き物が多く、ネットでその都度調べなければならなかった。

素朴な挿絵があったが、それらがぼくの想像を助けてくれることは少なかった。しかし、素朴な絵というのはいいものだ。ほっとさせてくれる。美術館で大きな絵を見るのもいいが、手元で素朴な絵を見るのもいいかもしれない。

話が逸れた。

それでもいくつかいいなと思う文章はあった。

猫。鼠で遊び飽きて、かっこよく座って夢想に耽る。その時の猫の表情を「拳固のように」、つまりげんこつのように引き締まったと表現していて、新鮮だった。短い文章で非常にシンプル。

しゃこでは、人との駆け引きがあり感情移入をした。銃で撃たれ、死んでいく様子が細かく表現されていて、少し胸がキュッとした。こうやって命を頂くのだな。普段あまり意識をしないけど。

最後の、樹々の一家。木が家族に例えられている。木はゆっくり死んでいく。塵となって崩れ落ちるまでは立ったまま。ゆっくり大地の一部になっていくんだな。風が木を倒そうとすると怒って身をくねらす。しかし木の枝同士で口論はしない。共に生きるために耐えている。ああ、なんだか自然は偉大なんだな。人間は忙しい。人間以外の生き物はどんな時間感覚を持っているんだろう?そんなものは存在しないのか?

紙の本のページをめくるのいいな。優しい。優しいか?最近は電子書籍も読むけど、あれはあれでいいんだけど、紙をめくるのいいな。